秩父の魅力は温泉と食事だけに留まらない。秩父神社を中心に広がる門前町には、昭和初期の銘仙(着物)産業で栄えた時代のレトロな建築物が今なお色濃く残っている。かつての商人宿や大正ロマン漂うカフェ、漆喰の蔵が立ち並ぶ小路を歩けば、まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるだろう。
最近では、こうした歴史的建造物を改修した「シェアキッチン」や「体験型ワークショップ」が増加中だ。地元のおばあちゃんから直接「手打ちそば」や「おやき」の作り方を教わる料理教室や、秩父の銘木を使ったマイ箸作りなど、地域住民と旅人が自然な形で交流できる場が生まれている。湯上がりの散策途中に立ち寄り、地元の人々と他愛もない会話を交わす時間こそが、旅の満足度を一段と高めてくれる。