王貞治氏の代名詞といえば、世界中の野球ファンを魅了したあの美しいフォームである。「一本足打法」——。しかし、その誕生の陰には、師である荒川博コーチとの、常軌を逸した熾烈な特訓が存在していた。プロ入り当初、制球難や打撃不振に苦しんでいた若き打者が、いかにしてあの独特なタイミングと絶対的な間合いを手に入れたのか。
畳が擦り切れ、刀を振るうような素振りで真夜中まで自分を追い込んだ伝説の練習風景。本作のドキュメンタリーでは、当時の練習記録や荒川氏が生前に遺した貴重な音声データが初公開されている。完璧な軸足のタメを生み出すための肉体的な苦痛と、精神の極限状態。過酷な試行錯誤の末に生み出されたフォームは、単なる打撃技術ではなく、生き様そのものであったことが浮き彫りになる。