ひと口に視線が固まるといっても、その背景にある脳内プロセスは一様ではない。大きく分けて3つの異なるメカニズムが存在する。
第一に「攻撃型」の据わりだ。過度の怒りや敵意により、相手を威圧・監視しようとする本能的行動である。このとき、視線は鋭く相手の目を射抜き、表情筋の緊張とともに強い圧迫感を周囲に与える。
第二に「麻痺型」の据わりだ。大量のアルコール摂取や薬物の影響で前頭葉の機能が低下すると、目の焦点を合わせる運動調節が失われる。瞳の奥に意識の層が存在しないような、ぼんやりと開いたままの固定視線が生じるのはこのためだ。
第三に「解離・バーンアウト型」の据わりである。極度の精神的疲労やトラウマ的ストレスに晒された際、脳は自己防衛として感情を遮断する。瞳の輝きが失われ、空間の何もない一点を虚ろに見つめ続けるこの状態は、心のエネルギーが枯渇した断末魔のサインとも言える。