「演奏してみたい」という憧れの一方で、バンド関係者を悩ませるのがシング・シング・シングの演奏難易度です。一般的なポップスステージの曲目感覚で手を出すと、練習の初期段階で破綻をきたすケースが後を絶ちません。
現場のプレイヤーたちが直面する2大難関が、ドラムソロとクラリネットソロです。
まずドラムパートは、伝説のドラマーであるジーン・クルーパ(Gene Krupa)のスタイルを再現することが求められます。ハイハットで正確に2拍・4拍を刻み続けながら、両手でフロアタムとスネアを連打し、音量のダイナミクス(ピアニッシモからフォルティッシモまで)をコントロールしなければなりません。体幹の強さと絶対的なテンポキープ力が要求され、ドラマーが力尽きるとバンド全体の推進力が完全に消失してしまいます。
続いてクラリネットパートに課せられるのは、最高音域(ハイF〜ハイG以上)を突き抜ける音圧と、ジャズ特有のクラリネットソロのグリッサンド(音を滑らかにずり上げる奏法)です。クラシックの端正なアンブシュア(口の形)だけでは表現しきれない「下唇のコントロールと息のスピード」が必須となり、木管セクションの花形でありながら最大のプレッシャーを背負うことになります。