なぜ水谷豊と伊藤蘭は、半生を共にしてもなお新鮮な夫婦関係を維持できるのでしょうか。テレビ番組や雑誌の手記で語られたエピソードからは、二人が無意識に実践している「夫婦円満の黄金律」が浮かび上がります。
第一に挙げられるのが、「お互いを名前で呼び合い、感謝を言葉にする」という日常の習慣です。水谷豊は伊藤蘭を「蘭さん」、伊藤蘭は水谷豊を「豊さん」と呼び、家庭内でも敬意を込めたトーンを崩しません。水谷豊はインタビューで「蘭さんの前ではいつでも自然体でいられるが、礼儀は忘れないようにしている」と語っています。
第二に、2013年公開の映画『少年H』で28年ぶりに夫婦役で共演した際のエピソードです。監督やプロデューサーが「本物の夫婦だからこその阿吽の呼吸がある」と絶賛する一方で、現場での二人はプロフェッショナルな俳優として接し、過度にいちゃつくこともなければ、意見の対立を感情的にぶつけ合うこともありませんでした。伊藤蘭は「豊さんは現場の空気を明るくする天才。俳優としても本当に尊敬しています」と振り返っています。
家庭内ではユーモアが絶えず、水谷豊の独特なジョークに伊藤蘭が優しく微笑み、娘の趣里がツッコミを入れるというのが水谷家の日常の風景。過剰に依存せず、かといって無関心にならない絶妙なバランスが、家庭を安らぎの場所に仕立て上げています。