四日市とんてきは、昭和戦後の高度経済成長期、工業地帯で働く労働者たちにスタミナをつけてもらおうと考案された料理がルーツとされています。その歴史の原点にあるのが中華料理店「来来憲」です。豚肉をソテーし、ニンニクを効かせた独特のタレで絡める調理法は、瞬く間に四日市の名物として定着していきました。
なかでも来来憲を訪れるファンの約8割が注文すると言われる絶対的エースが「大とんてき定食」です。一枚肉の端をつなげたまま手のひらのような切り込みを入れる「グローブカット」が施されており、厚みがありながらも中まで均一に火が通り、驚くほど柔らかくジューシーに仕上がっています。
味の決め手となるのは、上質なラードで一気に蒸し焼きにされた大粒ニンニクと、酸味とコクが絶妙に調和した秘伝の黒タレです。ウスターソースをベースにした甘辛くスパイシーなタレが豚肉の脂の甘みを引き立て、皿いっぱいに盛られた千切りキャベツに染み渡ります。このタレを絡めたキャベツと豚肉のコンビネーションこそが、ご飯を何杯でも進ませる最大の理由です。