木嶋佳苗という存在の本質に、早々に切り込んだジャーナリストの筆頭が作家の北原みのりだ。彼女は世紀の裁判を連日取材し、『毒婦 木嶋佳苗100日裁判大傍聴記』を通じて、メディアが作り上げた「男を騙す怪女」というステレオタイプを解体してみせた。
裁判傍聴記の中で描かれたのは、決して容姿端麗とは言えない彼女が、いかにして男性たちの承認欲求を満たし、その懐に深く潜り込んだのかという緻密な心理戦である。犯罪ジャーナリズムの観点からも、彼女の存在は単なる異端の殺人犯ではなく、現代社会が抱える孤独や性愛の歪みを照射する鏡として分析された。北原のルポルタージュは、ブログに綴られる自信満々の言葉の裏にある「計算された女らしさ」の真実を暴露し、事件の深層を理解するための決定的なテキストとなっている。