なぜゾウはこれほどの手間をかけて死者を埋めるのでしょうか。研究者の間では、実利的な衛生管理と、精神的な哀悼という2つの側面から分析が進められています。
第一の実利的な理由は、肉食獣などの捕食者を遠ざけるための防衛本能です。死臭が漂えばハイエナやトラなどの捕食動物が群れの周辺に引き寄せられ、生き残っている他の子象たちに危険が及びます。死骸を速やかに土中へ隠すことは、群れの安全を確保する上で理にかなった行動といえます。
しかし、防衛本能だけでは説明がつかない不可解な現象も記録されています。埋葬が行われた現場周辺では、群れのゾウたちがトランペットのような警戒音や唸り声を上げ、約30分から40分にわたって騒ぎ立てた後、その場を立ち去ったことが近隣住民によって証言されています。一度埋葬を終えた群れは、普段の移動ルートを変更し、その埋葬現場を避けるように迂回する傾向も確認されました。死の現場に対する強い忌避感や感情的なショックが、彼らの行動パターンを変化させていると考えられています。