コスト面だけでなく、指数の算出ロジックそのものにも知られざる脆弱性が潜んでいます。SMTAMダウ・ジョーンズ構成銘柄は、時代を代表する米国の優良企業30社に限定されています。マイクロソフト、アップル、ユナイテッドヘルス・グループ、ゴールドマン・サックス、キャタピラーといった超大企業が並び、銘柄のブランド価値に疑う余地はありません。
問題は、NYダウが「時価総額加重平均」ではなく「株価単純平均(ダウ方式)」を採用している点です。企業の企業価値(時価総額)の大きさではなく、1株あたりの株価が高い銘柄(いわゆる値がさ株)が指数全体を不均衡に支配してしまいます。
例えば、医療保険大手ユナイテッドヘルスの1株価格が急変した場合、時価総額では遥かに巨大なマイクロソフトやアマゾンがどれほど堅調であっても、指数全体が下落の圧力を受けます。行動経済学では、誰もが知る有名ブランドに全幅の信頼を置いてしまう現象を「親近性バイアス」や「アンカリング効果」と呼びますが、「ダウ30銘柄だから安心」という思い込みは、分散投資の基本である市場全体のリスク平準化とは根本的に乖離している現実を直視しなければなりません。