ミツカンの冷やし中華のつゆが店頭から消える背景には、食品流通業界における厳格な「棚割り(プラノグラム)の季節連動システム」が存在します。スーパーマーケットの調味料売り場は有限であり、季節の移り変わりに合わせて棚の商品が機械的に入れ替えられます。
大手食品卸の担当者によると、冷やし中華関連のつゆ製品は毎年3月下旬から4月上旬にかけて店頭へ配荷され、7月の猛暑期に需要のピークを迎えます。ところが、8月中旬のお盆を過ぎると、小売各社は一斉に秋冬商戦の主役である「鍋つゆ(鍋スープ)」の陳列スペース確保へ舵を切ります。その結果、8月下旬には冷やし中華のつゆが売り場から一斉に撤去(棚落ち)されるのです。
また、過去に行われた容器仕様の刷新(ガラス瓶から環境配慮型軽量PETボトルへの移行)やパッケージデザインの定期的なリニューアル時に、旧規格商品のJANコードが「製造終了」として登録されたことも、一般消費者に「ブランド自体の終売」と誤認させた大きな要因といえます。残暑が長引く9月以降に冷やし中華を欲した消費者が売り場を訪れ、棚から完全に消滅している光景を目撃したことで、「販売終了」の都市伝説が定着してしまったのが真相です。