珈琲美学アベを訪れる者の大半が注文するのが、看板メニューである珈琲美学アベのモカフロートです。この一杯には、長年受け継がれてきた劇的なパフォーマンスと味の計算が潜んでいます。
グラスには、厳選されたモカベースの自家製アイスクリームが2玉。そこへ正装したスタッフが銀のポットを両手に持ち、客席の目の前で立ち上がります。右手のアイスコーヒーと左手の冷たいミルクが、高い位置から細く美しい弧を描きながら、一点の狂いもなくグラスへと注ぎ込まれます。空気を含ませながら一気に注ぐことで、グラスの中でまろやかなカフェオレが完成し、モカアイスの芳醇な苦味と香りが一気に立ち上ります。
この注ぎの技術は単なる視覚的演出(いわゆる「映え」)ではなく、コーヒーの香気成分を瞬時に解き放ち、アイスと液体の温度差を絶妙に馴染ませるための合理的なアプローチです。甘さは極めて控えめで、深煎り豆特有のコクとモカアイスのビターな甘みが重なり合い、最後の一滴まで濃厚な余韻が続きます。
また、フロートと並びファンの多い珈琲美学アベのモカパフェも外せません。過剰なコーンフレークでかさ増しすることなく、自慢のモカアイス、自家製コーヒーゼリー、上質な生クリームが層を成す構成で、大人の舌を満足させる本格的なデザートに仕上がっています。店頭では珈琲美学アベのテイクアウト用として自家焙煎珈琲豆やドリップバッグの販売も行われており、旅の記憶を自宅へ持ち帰る愛好家が後を絶ちません。