足寄町から彗星のごとく現れた男が心を許した相手、それが一般女性であった金井孝子さんだ。ふたりの出会いは、松山千春がまだ全国的なブレイクを果たす前、地元・北海道での下積みや地域活動が交錯する中で静かに芽生えたとされる。
飾り気のない人柄と、周囲への細やかな気配り。どんなに名声を得ても故郷・北海道を拠点にし続けた松山にとって、東京の華やかな芸能界の論理に染まらない彼女の素朴な強さは、何物にも代えがたい魅力だった。表舞台でどれほど過激な発言を繰り返そうとも、一歩家に入れば一人の不器用な男に戻れる。孝子さんという揺るぎない受け皿があったからこそ、彼は表現の刃を研ぎ澄まし続けることができた。