現在、ソニーグループの半導体事業が生産能力の拡張を急ピッチで進めている背景には、単なるスマホ向けカメラの需要増にとどまらない、中長期的な産業構造の転換があります。公式決算資料や投資計画によると、ソニーはイメージセンサー市場において世界シェア(金額ベース)過半の維持を明確なターゲットに掲げています。
主戦場であるスマートフォン市場では、複数眼化やセンサーサイズの大型化がハイエンド機からミドルレンジ機へと普及しました。さらに自動運転や高度運転支援システム(ADAS)に不可欠な車載カメラ向けセンサー、工場自動化(FA)を支える産業用センサーの需要が急拡大しています。特に熊本テック(熊本県菊陽町)での新工場用地取得や、長崎テック(長崎県諫早市)におけるFab5の増設・稼働は、これら成長市場の旺盛な引き合いに応えるための戦略的布石です。
莫大な固定費リスクを負いながらも国内製造拠点への投資を貫く姿勢は、円安局面での輸出競争力向上に加え、地政学リスクを回避しながら高品質な製品を安定供給する体制を盤石にする狙いがあります。