本書が提示するそれでも日本は戦争を選んだ 要約の根幹は、日本が経験した4つの対外戦争の連鎖関係にある。それぞれの戦争は孤立した出来事ではなく、前段階の戦争によって得た権益や生じた安全保障上の不安が、次の戦争の引き金になっていく。
日清戦争では朝鮮半島を巡る安全保障(「主権線」と「利益線」の防衛)が動機となり、日露戦争では満州の利権とロシアの脅威への対抗として日英同盟を梃子に戦われた。さらに第一次世界大戦を経て、国際社会が「戦争違法化」や「多国間協調」へと大きく舵を切る中、日本はその新しい国際秩序のルール変更に十分適応できなかった。
日清日露の成功体験に縛られた指導層は、やがて満州事変、日中戦争へと泥沼化し、英米との決定的な対立(ABCD包囲網)を招く。資源の枯渇と外交の行き詰まりの中で、「座して死を待つよりは」という絶望的な論理から日米開戦へと踏み切っていった経緯が克明に描かれている。