戦後、この危うい楽曲に再び光を当てたのが、作家・三島由紀夫だった。美と死、そして行動美学を追求した三島は、自身が監督・主演を務めた自主製作の映画『憂国』の精神的バックボーンとしてこの歌を極めて高く評価していた。三島にとって「青年日本の歌」は、言葉と行動が完全に一致した稀有な芸術作品に映ったのである。
やがて時代が下り、二・二六事件を描いた大作映画『226』をはじめとする数々の映像作品においても、昭和初期の狂気と哀愁を象徴するテーマとして印象的に使用された。美化される危険性と隣り合わせでありながら、その哀切なメロディは表現者たちを魅了し続け、スクリーンを通じて現代へと語り継がれている。