バルセロナ五輪での「今まで生きてきた中で、一番幸せ」という言葉は、日本スポーツ史に残る名セリフだ。だが、一躍国民的ヒロインとなった彼女を待っていたのは、過剰なメディアの追っかけと、プライバシーの侵害だった。当時はまだSNSこそなかったものの、週刊誌やテレビ番組のカメラは彼女のあらゆる瞬間を切り取ろうとした。その中には、競技中の水着姿や、ふとした瞬間の身体のパーツを強調するようなアングルも少なくなかった。
少女から大人へと成長する過渡期にあった彼女に対する世間の視線は、純粋な応援だけではなかった。メディアが作り出した「アイドル的扱い」が、結果としてネット社会における性的な消費の土壌を作ってしまったことは否めない。