作者の寺嶋裕二が描いたこの夏大会決勝は、従来の少年漫画にありがちな派手な超人技を排除し、徹底的にリアルな技術論と心理戦を積み重ねた点が高く評価されている。投手のスタミナ配分、配球の裏の読み合い、一瞬の走塁判断にいたるまで、現実に存在する高校野球の緊張感がコマの端々に宿っていた。
選手たちの汗や息遣い、ベンチの采配、そしてアルプススタンドの応援に至るまで細密に描き出す手法は、読者にまるで甲子園予選の現地スタンドに身を置いているかのような錯覚を与えた。ドラマチックでありながら過度な誇張のないリアルな描写こそが、本作をスポーツ漫画の最高峰へと押し上げた要因だ。