青果市場の仲卸業者や大手スーパーの仕入れ担当者に取材を試みると、売り場づくりにおける葛藤とリアルな工夫が見えてきます。ある首都圏の青果バイヤーは次のように証言します。
「農水省の統計上は野菜であっても、現場で野菜コーナーにスイカを置くことは絶対にありません。消費者の行動心理として、夕食の献立に悩む主婦層がホウレンソウやキャベツの隣にある1玉2,000円前後のスイカをカゴに入れることは考えにくい。甘いものを欲する動線上に置いてこそ購買意欲が刺激されるため、長年フルーツ売り場の一等地に配置するのが鉄則です」
SNSや知恵袋などのコミュニティを分析しても、「スイカが野菜だと言われてもデザートとしか思えない」「野菜嫌いの子どもがスイカだけは喜んで食べるのは矛盾しているのか」といった消費者の戸惑いが毎年のように投稿されています。生活実感としては果物でありながら、知識としては野菜であるという二面性こそが、スイカという存在の面白さを際立たせていると言えます。