パワーストーン市場において、避けて通れない問題が「人工処理石」の存在です。現在、日本国内のアクセサリーショップやECサイトで低価格(数千円台)で販売されているスモーキークォーツの多くは、無色の水晶(ロッククリスタル)に人工的なガンマ線や電子線を照射して強制的に黒褐色へ変色させた個体です。
鑑別機関の調査データによると、特に8mm〜12mmの均一な丸ビーズとして流通している安価な製品の70%以上が人工照射処理品であると推定されています。照射処理自体は宝石業界で認められた一般的な改質技術ですが、「完全天然・未処理の煙水晶」として高額で偽装販売されるケースが増加しており、注意が必要です。
失敗しないスモーキークォーツの偽物の見分け方として、現場の鑑別士が推奨する観察ポイントは以下の3点です。
第一に「色ムラと透明感」です。天然未処理のスモーキークォーツは、光にかざしたときに柔らかな黄褐色から灰褐色の美しいグラデーションが見られます。絵の具を溶かしたように均一で、不自然に真っ黒なビーズが連なっているものは、スモーキークォーツの照射処理品である可能性が極めて濃厚です。
第二に「多色性(二色性)」の有無です。鉱物用ダイクロスコープ(二色鏡)や偏光板を通して石を回転させると、天然品は角度によって「黄褐色」と「茶褐色」の微妙な色調変化を示します。ガラス模造品にはこの光学的特性が一切現れません。
第三に「クラック周辺の色溜まり」です。人工照射された石は、結晶内部の微細なヒビ(クラック)周辺に放射線反応が過剰に集中し、ヒビの周りだけ不自然に黒く焦げたような染みが生じる特徴があります。