Super Takumar 55Mm F1.8の真実と前期後期の差

Super Takumar 55Mm F1.8の真実と前期後期の差

Super Takumar 55Mm F1.8の真実と前期後期の差にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

インターネット上の掲示板やSNSでしばしば議論の的となるのが「アトムレンズの真相」です。アトムレンズとは、1950年代から1970年代にかけて各国の名門光学メーカーが競って採用した、放射性物質「酸化トリウム」を最大30重量パーセント程度ドープした光学ガラスを指します。

なぜ放射性物質を混ぜる必要があったのか。理由は極めて純粋な工学的探求でした。トリウムを混入させることで、低分散かつ極めて高い屈折率を持つ硝材が得られ、レンズ枚数を増やすことなく色収差を補正し、明るいF値を実現できたのです。当時のアサヒペンタックス技術陣が、世界最高水準の描写性能を大衆向け一眼レフで実現しようと挑んだ歴史的証拠と言えます。

気になる人体への影響ですが、国内外の放射線防護機関や大学研究機関による実測調査によると、レンズ前玉・後玉表面にガイガーカウンターを密着させた場合の放射線量は数マイクロシーベルト毎時(μSv/h)を記録するものの、カメラボディに装着した状態や数十センチ離れた位置では自然界のバックグラウンド放射線量とほぼ同等レベルまで減衰します。レンズを粉砕して吸入したり、眼球に密着させたままで何年も生活しない限り、日常の撮影や携行において健康被害が生じるリスクは極めて無視できる水準です。

むしろ実用上の課題となるのは、トリウムの自己放射線損傷によってガラス内に欠陥(Fセンター)が生じ、レンズが琥珀色に変色する「黄変現象」です。この黄変により、撮って出しの写真全体がアンバー調に転び、実質的な透過光量が約0.5〜1段分低下します。

この問題に対する現場の解決策として確立されているのが、「スーパータクマー黄変の直し方」です。紫外線(UV光)を照射することで、結晶格子内のトラップされた電子が励起・解放され、退色する光学的性質を利用します。具体的には、395nm前後のUV-LEDライトを後玉側から24〜48時間連続照射するか、晴天時にアルミホイルを敷いたトレイの上で数日間直射日光を当てることで、劇的に透明度を回復させることが可能です。ただし、日光浴を行う際は太陽熱によるヘリコイドグリスの揮発や蒸着レンズへの油染み出しに細心の注意を払わなければなりません。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。