経済統計をめぐっては、極端な悲観論と根拠なき楽観論の双方がネット空間に氾濫しています。情報の渦に惑わされないためには、データの正確な文脈を読み解くリテラシーが必要です。
巷でよく見られる誤解の一つが、「名目GDPがドイツに抜かれたのだから、ドイツ経済は日本より遥かに繁栄している」という言説です。実際のドイツ経済の現場を取材すると、エネルギーコストの高騰による製造業の空洞化、老朽化した鉄道やインフラの遅延、熟練労働者の深刻な不足など、深刻な構造不況にあえいでいます。ドイツの名目GDP拡大は、物価が高騰したことによる「名目上の膨張(悪性の名目成長)」という側面が極めて強く、国民が豊かさを実感しているわけではないという事実は押さえておく必要があります。
しかし、だからといって「すべては円安のせいであり、日本の実力は何も変わっていない」と開き直る楽観論もまた、極めて危険な現実逃避です。日本のGDP過去推移と現在を時系列で比較すると、1995年頃には世界の経済規模全体の約18%を占めていた日本の存在感は、現在では4%未満にまで激減しています。
世界GDPシェアの推移と将来予測において、日本が占めるパイの縮小は構造的なトレンドです。世界経済成長率ランキング詳細まとめを参照しても、年率1%前後の成長にとどまる先進諸国の中で、急速な人口減少局面へ突入した日本は、イノベーションによる抜本的な生産性向上を果たさない限り、世界シェアの縮小を食い止めることは構造的に不可能な設計となっています。