テレビ画面では完璧に見える芸能人の口元ですが、歯科関係者の間では芸能人の歯がボロボロな真相が長年指摘されてきました。その根本的な引き金となっているのが、デビュー当時やブレイク直前に行われる「無理なクイック矯正」です。
昭和から平成、さらには近年に至るまで、オーディションや番組出演を控えた新人タレントは、数年かかる通常のワイヤー矯正を待つ猶予を与えられませんでした。わずか数週間で歯並びを美しく見せるため、健康な天然歯を大きく削り、神経を抜き(抜髄)、その上に人工の被せ物(セラミッククラウン)を被せる手法が横行したのです。神経を失った歯は血液供給が途絶え、水分を失った枯れ木のように脆くなります。その結果、20代で治療を受けたタレントが40代・50代を迎えた際、歯根破折(歯の根元が割れること)を起こして抜歯を余儀なくされる事態が多発しています。
さらに、芸能界特有の過酷な労働環境が拍車をかけます。深夜に及ぶドラマ撮影、極端な食事制限を伴う過激なダイエット、バラエティ番組のロケ弁や激辛・熱湯企画による口腔内への強い刺激、そして常に視聴率や世論の評価に晒される極度のストレスによる就寝時の激しい歯ぎしり。これらが複合的に作用し、若いのに部分入れ歯の芸能人が水面下で増え続ける構造的要因となっています。