発売が発表されるやいなや、日本酒ファンのみならず一般のニュース視聴者の間で最大の関心事となったのが「獺祭 島耕作の中身は何なのか」という点でした。公式発表資料および当時の記者会見で明かされたスペックの真相は、まさに常識破りの内容でした。
停電時に仕込み中だったタンクには、獺祭のフラッグシップである「純米大吟醸 磨き二割三分(当時定価:約5,000円超)」、主力商品である「純米大吟醸 磨き三割九分(当時定価:約2,500円前後)」、そして定番の「純米大吟醸50(当時定価:約1,600円前後)」など、異なる精米歩合の原酒が多数含まれていました。旭酒造はこれらをあえてブレンドして均一化するのではなく、タンクごとに瓶詰めしたのです。
つまり、ラベルはすべて同一の「獺祭 島耕作」でありながら、瓶ごとに詰められている中身のスペックが異なるという極めてユニークな仕様となりました。外装から中身を見分ける術は一切なく、どのボトルに「二割三分」が入っているかは完全に飲む人の運次第という、ある種のサプライズ企画としても機能したのです。
価格設定は720mlで1,200円(税別)。当時「獺祭50」の正規価格(1,530円税別)よりも安く設定され、そこからさらに200円が被災地域(広島、岡山、愛媛、山口などの被災自治体)へ寄付されました。最高級の「磨き二割三分」が入っているかもしれない酒が、寄付金込みで1,200円で買えるというニュースは、日本中の消費者に強烈なインパクトを与えました。