職場で同僚が上司から叱責されている場面や、結婚式のスピーチで誰かが言葉に詰まった瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられるような耐えがたい感覚を覚えたことはないでしょうか。この他人の失敗で恥ずかしくなる心理の背景には、高度な人間関係を築くために備わった「感情移入のメカニズム」が存在します。
心理学では、他者のネガティブな感情(羞恥、屈辱、居心地の悪さ)を自分のことのように追体験してしまう状態を広く「代理羞恥(Vicarious Embarrassment)」と定義しています。日本のネットカルチャーやメディアでは「共感性羞恥」という呼称が広く定着していますが、学術的にはほぼ同じ心理学的なメカニズムを指す言葉です。
SNSなどのネットの反応と共感の声をリサーチすると、「アニメの勘違い系エピソードが無理」「告白してフラれるシーンは音量をゼロにする」など、エンタメの鑑賞体験に支障をきたしている人が驚くほど多いことが浮き彫りになっています。決して珍しい体質ではなく、人間が社会的な生き物である証左とも言えます。