呼称や歴史の差異だけでなく、現場での制作プロセスを仔細に見ると、和彫りと洋彫りの特徴には明確な技法・造形理念の違いが存在します。これが施術に伴う苦痛の質や完成までの時間、ひいては費用体系の違いを生み出しています。
日本伝統の和彫りは、龍、虎、鯉、鳳凰、不動明王といった東洋のモチーフを、牡丹や桜、渦巻く波や雲などの「見切り(額)」で隙間なく包み込む構図が特徴です。背中から上腕、太ももへと連続する「総身彫り」や「どんぶり」に代表されるように、身体全体を一幅の絵巻物に見立てます。道具としては、現代では衛生面や効率からライン(筋彫り)にマシンを用いる彫師が増えたものの、色の濃淡をぼかす工程では、竹や金属の棒の先に数十本の針を並べた「鑿(のみ)」をリズミカルに皮膚へ差し込む伝統の「手彫り」を貫く職人が今なお存在します。手彫りは機械に比べて表皮への摩擦熱が少なく、治癒後のインクの発色に独特の深みと艶が出ると評価されています。
対する洋彫り(タトゥー)は、アメリカントラディショナル、リアルなポートレート、細いラインで描くファインライン、レタリング(文字)など多岐にわたります。カンバスとしての連続性よりも、個別の図柄をワンポイントで配置するスタイルが主流です。施術には電磁石の往復運動を利用するコイルマシンや、小型モーターで針を駆動させるロータリーマシンが用いられ、微細なグラデーションや精密な針運びをスピーディーに行うことが可能です。
気になる痛みの違いと施術時間の比較ですが、これは施術手法と彫る面積に強く依存します。マシンの痛みは「高熱の針で皮膚を高速で引っ掻かれ続けるような鋭い痛み」と表現されることが多く、手彫りのボカシは「トントンと小刻みに皮膚の奥を突かれる重い鈍痛」と形容されます。手彫りは表皮へのダメージが比較的抑えられるため、施術後のヒリつきはマシンより軽いと証言する愛好家も少なくありません。