内閣府の中央防災会議や防災科学技術研究所などのデータによると、津波による浸水深が1メートルに達した場合の死亡率はほぼ100%に達すると試算されています。「たった1メートルでなぜ助からないのか」と疑問を抱く方も多いはずですが、ここには津波特有の流体力学的な脅威が存在します。
津波に巻き込まれた際の生存率が絶望的な数値になる最大の要因は、「単に水に浸かる」のではなく「猛烈な水圧と流速で流され、瓦礫に激突する」点にあります。水深が1メートルある場所を猛スピードで流れる水流の中では、水泳の達人であっても呼吸を確保することすらできません。足元は完全にすくわれ、漂流する車や倒壊家屋の木材、コンクリート片とともに激流に揉まれます。
さらに、津波の水は砂や泥、ヘドロを大量に巻き込んでいます。この泥水をわずか一口気道に吸い込んだだけでも激しい呼吸困難や肺の損傷を引き起こし、水中で意識を失うリスクが極めて高くなります。1メートルの津波に直面した時点で「自力で生き残る」という選択肢はほぼ失われるのが冷酷な真実です。