歴代のスピードキングたちの系譜において、サイモン・ビリーとイバン・オリゴーネのふたりは突出した存在感を放つ。前人未到の255.50km/hを叩き出したフランスのサイモン・ビリーは、父の代から続くスピードスキー一家のサラブレッド。その滑走姿勢は力強く、コースの歪みを完璧にいなす柔軟性を備える。
対するイタリアのイバン・オリゴーネもまた、長年にわたり世界記録保持者として君臨した生ける伝説だ。圧倒的な集中力でスタート台に立ち、寸分の乱れもないフォームで空気の壁を突き破る。二人が繰り広げる記録の削り合いは、競技の次元をひとつ上のフェーズへと引き上げた。