落合信彦氏が渡米し、テンプル大学で学び、その後世界を股にかけるジャーナリストへと駆け上がっていくプロセスにおいて、妻の存在はまさに不可欠な推進力であった。
特に大ヒット作となった『20世紀最後の真実』の執筆期には、世界中の裏社会や極秘情報を取り扱う緊張感が高まっていた。ジョン・F・ケネディ暗殺の真相追究など、命がけの取材活動を裏で支える日常は、想像を絶するストレスとの戦いでもあったはずだ。
しかし、彼女は家庭内に外の緊張感を持ち込ませなかった。夫が執筆に集中できる静謐な時間と空間を確保し、過酷なジャーナリズムの世界で疲弊した夫を静かに受け止めた。この日常の安定こそが、名作ノンフィクションを世に送り出すエネルギー源となっていたのである。