映画界を激震させたのは、当初予定されていた全国公開日(2026年6月16日)を目前に控えた同年5月のことでした。物語の中核であり、キントリ最後の強敵として立ちはだかる内閣総理大臣・長内洋次郎役を演じていた市川猿之助が私生活上の重大事件に関与したとして緊急搬送され、直後に逮捕される事態が発生したのです。
配給の東宝およびテレビ朝日は直ちに協議を行い、公開延期を正式発表しました。しかし、映画のプロモーションはすでに最終局面を迎えており、主要劇場にはポスターやチラシが掲出され、前売り券の販売も始まっていました。興行関係者によると、宣伝物資の差し替えや劇場枠の再調整に伴う損害額は数億円規模に達したと囁かれ、作品の性質上「劇中で内閣総理大臣の罪や闇を暴く」というプロットが実際の事件と生々しくリンクしてしまう点も、公開へのハードルを極端に押し上げました。
当時の報道各社や映画ライターの間では「このまま永久にお蔵入りとなる可能性が極めて高い」という悲観的な見方が大半を占めていました。関係者の証言によると、一時は関係各所への違約金処理と制作中止の手続きが具体的に検討されるほど、制作現場は深い絶望感に包まれていたとされます。