田原俊彦『哀愁でいと』誕生秘話と原曲の真実|昭和を揺るがした伝説

田原俊彦『哀愁でいと』誕生秘話と原曲の真実|昭和を揺るがした伝説

田原俊彦『哀愁でいと』誕生秘話と原曲の真実|昭和を揺るがした伝説の見逃せないポイントをわかりやすく整理しました。

『哀愁でいと』の原曲は、レイフ・ギャレットが1979年にリリースしたサードアルバム『Same Goes for You』に収録されていた『New York City Nights』です。作詞・作曲を手掛けたのは、Andrew Joseph DiTarantoとGuy Hemricのコンビ。本国アメリカではシングルカットされておらず、アルバムの1トラックに過ぎなかった楽曲を発掘してきたディレクター陣の選曲眼には驚嘆を禁じ得ません。

原曲の『New York City Nights』は、当時の西海岸サウンドとディスコを融合させた、比較的ストレートでタイトなAOR系ポップスでした。レイフ・ギャレットのボーカルはハスキーで甘く、アメリカのティーンらしい爽やかさが前面に出ていました。これに対し、日本版『哀愁でいと』は、アレンジャーの手によってホーンセクションとストリングスが大胆に増強され、よりドラマティックかつ歌謡性の高いグルーヴへと再構築されています。

そして何より成功の鍵を握っていたのが、作詞家・小林和子氏による日本語詞の卓越したワードセンスです。原題の直訳ではなく、あえてタイトルに「哀愁」という極めて日本的な叙情詩のキーワードを冠しつつ、そこに「デート」を平仮名で「でいと」と表記する絶妙なミスマッチ感を演出しました。「バイバイ哀愁でいと」というリフレインは、一度耳にすれば誰もが口ずさめるキャッチーさを持ち、冷たい大都会の夜景と少年のほろ苦い失恋の痛みを鮮やかに描き出しています。

英語詞の「New York City Nights」の響きを損なわず、日本語のイントネーションを完璧にメロディへ落とし込んだこの翻案は、昭和歌謡史における外国曲カバーの最高傑作のひとつと評価されています。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。