鉄道事業を監督する国土交通省も、この事態を看過していない。航空機においては預け入れ荷物へのリチウムイオン電池の混入が厳格に禁止され、機内持ち込みにも厳しい容量制限が課されている。これに対し、1日に数百万人以上が利用する都市鉄道では、改札口での手荷物検査など物理的に不可能に近い。
しかし、走行中の地下鉄トンネル内という逃げ場のない空間で大規模火災が発生した場合の大惨事は想像を絶する。国土交通省内では現在、危険なリチウム含有製品の車内持ち込み基準の見直しや、異常発熱時の隔離用耐火バッグの全列車常備といった現実的な規制強化策が本格的な議論のテーブルに載せられている。利便性と安全性の間で、日本の公共交通は重大な決断を迫られている。