街で見かける「交番」と、郊外や離島に多い「駐在所」。両者の決定的な違いは、勤務形態と建物の構造にある。交番は複数人の警察官が交代制(3交代や4交代)で24時間勤務するオフィスだが、駐在所は原則として1人の警察官(駐在員)が家族とともに居住する公宅を兼ねている。
都道府県警察が配置を進めてきたこの仕組みは、公共安全・警察行政の現場において極めて特異な存在だ。勤務時間という概念は書類上存在していても、深夜にドアをノックされればパジャマから制服に着替えて現場へ走る。「近所の牛が逃げ出した」「鍵を落とした」「隣のじいちゃんの姿が見えない」——寄せられる相談は事件・事故にとどまらない。プライベートの境界線が極限まで曖昧な環境下で、駐在員は日々地域の安全と向き合っている。