昭和から平成、そして令和へと時代が下るにつれ、代紋が纏う過剰なロマンティシズムはさらに剥ぎ取られていく。その決定打となったのが、北野武監督が手がけた大ヒット映画シリーズ『アウトレイジ』だ。
同作において、組織のバッジや標章は任侠の証などではなく、単なる「企業の社章」や「利権の取引材料」として冷徹に描写される。金と権力を巡る冷酷な格付けゲームの中で、首から下げられた金の代紋バッジは、組織の衰退や個人の使い捨てを際立たせるための記号として機能している。北野武監督の突き放したカメラワークは、代紋に過剰な憧憬を抱く視聴者の幻想を鮮やかに打ち砕いて見せた。