「トカラの法則」がこれほど浸透した背景には、地震への恐怖と「事前に兆候を知りたい」という人々の切実な欲求があります。自然災害の予知が極めて困難である現代において、分かりやすい法則や前兆説にすがりたくなる心理は決して不自然なものではありません。
しかし、オカルト的な連動説を信じて一喜一憂することは、防災上かえってリスクを高めます。「トカラで地震が起きていないから今は安全」「トカラが揺れたから今だけ警戒する」といった誤った判断は、不意に訪れる直下型地震や海溝型地震への初動を遅らせかねません。「日本国内にいる限り、いつどこで大地震が発生してもおかしくない」という前提に立ち、家具の固定や非常持ち出し袋の確認、避難経路の把握といった現実的な減災行動を平常時から継続することが何よりも重要です。