この状況に対し、インフラを担う事業者や警察当局も無対策だったわけではない。警視庁や沿線の自治体、そして東日本旅客鉄道株式会社には、乗客からの「悪臭が酷い」「衛生上問題がある」といったクレームが連日のように寄せられていた。
だが、法的な壁が立ちはだかる。日本国憲法が保障する移動の自由や個人の権利が存在する以上、犯罪を犯していない人物を強制的に拘束したり、乗車拒否を続けたりすることは極めて困難だ。現場の駅員や警察官は、本人への声かけや保護の打診を繰り返しつつも、強制力を行使できないジレンマに直面し続けてきた。