まつげへの執着が過熱する一方で、眼科医や行政機関は警戒レベルを引き上げている。厚生労働省や独立行政法人国民生活センターには、個人輸入代行などを通じて入手した強力な海外製まつ毛美容液による健康被害相談が定期的に寄せられているのが現実だ。
報告されているトラブルは、単なる皮膚のかぶれに留まらない。角膜潰瘍や結膜炎、まぶたの縁にある皮脂腺「マイボーム腺」の機能不全による重度のドライアイなど、視機能そのものを脅かす事例が存在する。特に、未承認の医薬品成分が高濃度に含まれた粗悪品や、衛生管理が不透明な模倣品の使用は取り返しのつかない事態を招きかねない。
美しさを追求する行為が、生涯にわたる目の健康を損なっては本末転倒だ。現代のアイケア・まつ毛育毛に求められているのは、単なる「伸びるか否か」の二元論ではなく、眼球組織全体の安全性を最優先に置いた、節度あるセルフメディケーションの視点である。