アプリのインストールを強制せず、ブラウザから1タップで閲覧できる「となジャン」の仕様は、課金チケットや待ち時間を要求する一般的なマンガアプリとは一線を画しています。「怪しい広告モデルではないのか」「後から高額請求が来るのではないか」といった初心者の懸念も散見されますが、その実態は集英社が戦略的に設計した王道のメディアビジネスです。
この「完全無料」を成立させている最大のエンジンは、単行本(紙・電子書籍)の圧倒的な売上とグローバルなIP(知的財産)展開にあります。雑誌の定期購読料で利益を出す旧来の出版流通とは異なり、Web空間で作品を惜しげもなく無料開放して読者母数を爆発的に拡大。その熱狂をそのままコミックス購入、アニメ化、映画化、ゲーム化、海外ライセンス販売へと直結させることで、Web単体での広告収入に頼らない巨額の利益回収を実現しています。
事実、サイト立ち上げ当初から牽引役を務める『ワンパンマン』は、シリーズ累計発行部数3,000万部を優に突破し、ハリウッド実写映画化や世界規模での配信アニメ展開へと結実しました。アプリ内課金を挟むと「課金障壁」によって読者の離脱が発生しますが、Webブラウザ完結型であればSNS上のシェアから新規読者が瞬時に作品へ流入します。出版不況が叫ばれるなか、Webを最強の「無償ショーケース」として機能させる逆転の発想こそが、となジャンが無料を維持できる真のカラクリです。