ネット上の不確かな情報や思い込みによって、多くの遺族が誤認しているポイントがあります。重大な不利益を避けるために、代表的な誤解の真相を整理しておきましょう。
誤解1:「自動車税を毎年納付していれば、名義は亡くなった人のままでも合法」
これは最も多い危険な誤解です。地方税法上、自動車税(種別割)は4月1日時点の所有者に課税されます。所有者が死亡した場合、遺族宛てに「納税管理人申告書」が届き、代表者が納付を続けること自体は可能です。しかし、税金を納めていることと、道路運送車両法上の名義変更義務を果たしていることは全く別の問題です。同法第13条では、所有者の変更があったときは「15日以内に移転登録の申請をしなければならない」と明確に規定されています。
誤解2:「中古車買取店に頼めば、名義変更しなくても買い取ってくれる」
大手の車買取専門店やディーラーが、亡くなった名義人の車をそのまま買い取ることは法的に不可能です。業者が買い取る場合であっても、必ず「一度相続人の名義に移転登録する」か、あるいは「遺産分割協議書や除籍謄本等の相続書類一式を揃えて、業者名義への移転登録を同時に行う」というステップを踏みます。書類が揃わない車を買い取れば、業者は転売も解体もできず不良在庫を抱えることになるため、契約そのものを拒否されます。
誤解3:「軽自動車なら遺産じゃないから、勝手に自分のものにして良い」
軽自動車は確かに陸運局への財産登録制度がなく、手続き上の遺産分割協議書は不要です。しかし、民法上の「相続財産」である事実に変わりはありません。他の相続人に無断で軽自動車の名義を自分名義に変えたり、売却して代金を懐に入れたりした場合、遺産分割調停や損害賠償請求において「遺産の無断処分」として激しく追及される法的リスクが存在します。