物語のクライマックスにおいて、恋雪の登場シーンはアニメーション表現としても最高峰の感情体験をもたらす。首を斬り落とされてなお、強さへの執着だけで肉体を再構築しようとする猗窩座。その狂気の再生を止めたのは、炭治郎の刀でも技でもなく、忘れていた愛する人の面影と温もりだった。
「もういいのよ、狛治さん」
自らの意志で技を叩き込み、全身を崩壊させていく猗窩座の魂を、恋雪はしっかりと抱きしめる。罪を重ね、阿鼻叫喚の地獄へと堕ちていく夫に対し、彼女は一切の責め苦を与えない。「おかえりなさい」というたった一言に込められた無償の愛。地獄の火に焼かれながらもふたりが抱き合うラストシーンは、恐ろしい鬼が最後にただの「愛する人を守りたかった男」に戻った瞬間であり、世界中の観客の涙腺を崩壊させた。