食べづわりは一般的に「空腹時に吐き気をもよおす」とされますが、実際には食べてもスッキリしない、あるいは食後に強い胃もたれや吐き気を感じる妊婦さんが大勢います。この現象を引き起こす主な要因は大きく分けて3つ存在します。
1つ目は、妊娠維持のために分泌が急増するプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響です。プロゲステロンには子宮収縮を抑える働きがある一方、胃腸の平滑筋を弛緩させる作用も持ち合わせています。これにより胃の蠕動(ぜんどう)運動が著しく鈍くなり、摂取した食べ物が胃の中に長時間滞留してしまうため、重度の消化不良や胃もたれを引き起こします。
2つ目は、妊娠中の胃酸過多と逆流です。胃の入り口にある下部食道括約筋が緩むことで、過剰に分泌された胃酸が食道へ逆流しやすくなり、胸焼けや喉の奥の焼けるような不快感、持続する吐き気へとつながります。
3つ目は、血糖値の急激な乱高下(血糖値スパイク)です。空腹時に炭水化物や糖質の多いものを一気に口にすると、血糖値が急上昇した後にインスリンの働きで急降下します。この血糖値の急激な落差そのものが、自律神経を乱して強い吐き気やだるさを引き起こす引き金になります。