ガロの勃興を語る上で見落とせないのが、もう一人の巨星・白土三平の存在だ。彼の代表作『カムイ伝』がガロの柱となり、当時の学生運動や社会変革の熱気とシンクロする中で、つげと水木はより個人的で内省的な、あるいは人間の根源的な恐怖に根ざした領域を深掘りしていった。
当時、講談社を中心とする大手出版社が少年誌の巨大市場を形成する中で、作家たちは大衆的な商業性と個人的な芸術性の狭間で葛藤していた。水木はメジャー誌で爆発的なヒットを連発しながらもガロへの執筆を絶対にやめず、つげは大衆社会の喧騒から身を引きつつガロという窓から静かに世界を凝視した。商業主義への反逆とメジャーでの成功という屈折した二重構造が、昭和の漫画史に強烈なテンションを生み出していたのである。