伝統と革新を焼く男:信楽焼の鬼才・古谷和也が薪窯の焔に込める真実

伝統と革新を焼く男:信楽焼の鬼才・古谷和也が薪窯の焔に込める真実

伝統と革新を焼く男:信楽焼の鬼才・古谷和也が薪窯の焔に込める真実にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。

古谷の作陶工程において、最も苛烈を極めるのが窯焚き(かまだき)の作業だ。数日間にわたり、不眠不休で赤松の薪を穴窯にくべ続ける。窯内部の温度は1300度を超え、一瞬の油断がすべての作品を無に帰すリスクを伴う。

古谷和也の作品に見られるビードロ釉と焦げ

窯焚きの最中、古谷は窯の鳴りや炎の色、煙の匂いから内部の状態を極限まで読み取る。薪から生じた灰が、作品の肩に降り積もる。それが高温でガラス質に変化し、流れるようなビードロ釉となる。火の走るルートや作品同士の配置によって、赤く染まる「緋色(ひいろ)」や、灰に埋もれて黒く変化する「焦げ」が生まれる。

  • ビードロ釉:薪の灰が熔融して生じる、ガラス質の澄んだ緑色の層。
  • 火色(緋色):土中の鉄分が炎と反応して発現する、温かみのある赤褐色。
  • 焦げ:灰の中に埋もれた部分が還元焼き締めされ、黒灰色に変化する現象。
  • 石ハゼ:土に含まれる長石の粒が熱で弾け、表面に露出する野性味あふれる表情。

これらすべての要素が、一つの器の上で奇跡的なバランスで融合する。計算され尽くした窯の構造と、絶対的な運。古谷はその境目で勝負を挑んでいる。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。