ヴィンテージミリタリーの愛好家コミュニティや古着市場において、個体の付加価値を大きく左右するのが胸や背中に入る「U.S.N.」ステンシルの存在です。甲板での所属識別用に施されたこの白いステンシルは、経年でかすれた風合いがミリタリー特有の男らしさを引き立てます。
しかし、現場の専門バイヤーの間では「後入れステンシル(偽造)」に対する警戒が強まっています。近年の価格高騰を受け、無地のプレーンな個体に後から型紙を当ててスプレーを吹き付け、価値を釣り上げる手口が散見されるためです。本物の当時物ステンシルは、生地の織り目に深くインクが染み込んでおり、経年変化によるアタリやスレと完全に同調しています。インクだけが不自然に新しかったり、周囲の退色とコントラストが不自然に強すぎる個体には注意が必要です。
また、背中に艦船名(USS〜)やスコードロン(部隊マーク)のステンシル、手描きのパッチカスタムが施された「スーベニアカスタム」個体は、当時の乗組員(水兵)のリアルなストーリーを宿した一点モノとして、時に初期型以上のプレミア価格(10万〜20万円台)で取引されるケースも珍しくありません。