アメ横の中心にそびえ立つアメ横センタービル。地上階の賑やかなアパレルショップやスニーカー店を横目に地下へと続く階段を下りると、一瞬にして東京であることを忘れるほどの別世界が広がる。そこは日本の小売・食品流通業の常識を軽々と飛び越えた、純度100パーセントのアジアンフードマーケットだ。
氷の上に豪快に並べられた見慣れぬ巨大魚、豚の頭肉、山積みになった青パパイヤやドリアン。漂う独特の発酵臭とハーブの刺激臭が混じり合い、中国語やベトナム語、タガログ語が飛び交う。都内に住む各国の料理人や在日外国人が食材を買い出しに集まるこの場所は、まさに日本の多文化共生を象徴するインフラとして機能している。
スーパーでは絶対に見かけない本場の香辛料や冷凍ハーブが信じられない卸売価格で手に入るため、近年は料理好きの若者やスパイスマニアたちが熱心に品定めをする姿も目立つ。東京の胃袋を支えるこの地下空間には、時代の変化に揺るがない圧倒的な生活のリアリズムがある。