一方で、より多角的かつ冷徹な視点で事故の全貌を描き出したのが、役所広司が主演を務めた社会派ドラマ『THE DAYS』だ。英雄譚としてのトーンを極限まで抑え、政府、電力会社の本店、そして過酷事故の現場という三者の視点から、事態が制御不能に陥っていく過程を淡々と、しかし息詰まるリアリズムで描写した。
役所広司が演じた現場責任者は、決して万能のヒーローではない。次々と崩壊する防壁を前に懊悩し、組織の硬直性に憤り、それでも部下の命を守るために絞り出すような指示を出し続ける。その抑制された演技は、巨大技術システムの前に立ち尽くす人間の弱さと気高さを同時に表現し、世界中の視聴者に深い衝撃を与えた。