「U.N.オーエンは彼女なのか?」を語る上で避けて通れないのが、ピアニスト・まらしぃ氏による演奏と、同人音楽サークル・COOL&CREATEによる二次創作アレンジ「最終鬼畜妹フランドール・S」の存在です。多くのリスナーや入門者がこれらを同一視、あるいは混同したまま楽譜を探し、思わぬギャップに苦しむ事例が頻発しています。
まず、ZUN氏が作曲した原作の「U.N.オーエンは彼女なのか?」は、どこか壊れたオルゴールを思わせる繊細で不気味なイントロから始まり、キャッチーでありながら変拍子のような錯覚を抱かせるジャズ・フュージョン的なコード進行が特徴です。曲の骨格には東洋的な哀愁とクラシカルな構築美が流れています。
これに対し、ビートまりお氏が率いるCOOL&CREATEの「最終鬼畜妹フランドール・S」は、メロディラインを高速のユーロビート・メロディックスピードメタルへと昇華させたものです。楽譜としての特徴は、BPM200前後の猛烈なツービート推進力、極限までパワーコードを叩き込む左手のパーカッシブな連打、そして間奏に組み込まれた高速アルペジオにあります。
さらに、まらしぃ氏のピアノアレンジは、これら両者のエッセンスを吸収しつつ、ピンク色のサルをピアノに置きながら繰り出す「猛烈な左手ストライド(低音オクターブと高音和音の激しい往復)」と「華麗なグリッサンド」がトレードマークとなっています。まらしぃ氏のスタイルを目指す譜面は、ジャズピアノ的なスウィング感とクラシックの強靭な打鍵力が同時に求められるため、一般的なクラシック上級譜面とは全く異なる身体運動を要求されます。「自分が弾きたいのは原曲の儚い世界観なのか、鬼畜妹の突貫力なのか、まらしぃ氏のグルーヴなのか」を明確に区別して楽譜を選ぶことが、演奏の成功を左右します。