直接的な咬傷や接触だけでなく、衛生害虫としての本質的な危険性は見えない病原菌の拡散とアレルゲン物質にあります。
ゴキブリは下水道、排水口、ゴミ捨て場といった不衛生な環境を縦横無尽に移動します。その脚や体表、消化管内には無数の有害微生物が付着しており、室内を徘徊することでサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌(O-157等)、赤痢菌、ノロウイルスなどをキッチンや食器類へ機械的に媒介(伝播)します。
さらに深刻なのがアレルギー疾患のトリガーとなる点です。ゴキブリの糞、脱皮殻、死骸の粉塵には「Bla g 1」「Bla g 2」などの特異的アレルゲンタンパク質が含まれています。これらがエアコンの風や室内の空気対流によって微粒子化して舞い上がり、吸入されることで以下のような疾患を引き起こすことが実証されています。
高気密・高断熱化が進んだ現代の住環境では、室内に溜まった微小なアレルゲンが排出されにくく、原因不明の慢性的な咳や鼻炎が「実は目に見えないゴキブリ由来の粉塵だった」という事例も珍しくありません。