介護保険制度において、高齢者の状態を表す指標は複数存在します。最も混同されやすい「要介護度」「障害高齢者の日常生活自立度」「認知症高齢者の日常生活自立度」の3つの違いを正しく理解することは、適切な介護プランを構築する第一歩です。
まず、要介護度と認知症高齢者の日常生活自立度の関係ですが、両者は「測定している対象」が根本的に異なります。要介護度は「1日にどれだけの介護時間(手間)を要するか」を全国一律のコンピューター判定(一次判定)と介護認定審査会(二次判定)によって要支援1から要介護5まで決定します。一方、認知症高齢者の日常生活自立度は「認知症状による見守りや生活の乱れ」にフォーカスした指標です。
そのため、「足腰が非常に丈夫で身体機能には全く問題がないが、重度の徘徊や火の不始末がある高齢者」の場合、身体介助の時間が短いために要介護度としては「要介護1や2」と低く判定される一方、認知症の自立度判定では「ランクⅢやⅣ」という重度の結果が出ることがあります。
また、「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」との違いにも注意が必要です。障害高齢者の自立度は、身体の麻痺や関節拘縮などの身体障害によってどの程度自立して生活できるかを「ランクJ(生活自立)」「ランクA(準寝たきり)」「ランクB(寝たきり)」「ランクC(完全寝たきり)」の4ランクで判定します。つまり、障害高齢者自立度が「身体の自由度」を測るのに対し、認知症高齢者自立度は「脳の認知機能と行動の影響」を測るという二軸の関係にあるのです。