「まるでSF映画のワンシーンのようです」。東京都内の公園で、ヘッドホンを耳に当てて黙々と踊る人々を見つめながら、地元住民の男性(72)はため息をついた。かつて太鼓の音が響き渡り、出店が並んだ境内は、今や不気味なほどの静寂に包まれている。騒音苦情への妥協案として導入された「無音盆踊り」だが、参加者からは『一体感がない』『お祭り気分が台無しだ』との声が噴出している。
しかし、主催者側にも同情すべき事情がある。近隣の高級マンションから寄せられる「子供が眠れない」「テレビの音が聞こえない」といった苦情は、年々エスカレート。警察への通報を恐れた結果、この奇策に頼るしかなかったのが本音だ。