映像作品における表現も、私たちの脳に潜む恐怖のメカニズムを的確に突いている。映画『ゼロ・グラビティ』で描かれた、宇宙空間に独り放り出される無力感と孤立感は、観客の脳内でアストロフォビアの擬似体験を生み出した典型例だ。命綱一つで無音の漆黒を漂う恐怖は、純粋な物理的ダメージ以上に精神を摩耗させる。
また、監督クリストファー・ノーランが手掛けた『インターステラー』などの作品に見られる重力の歪みや時空の深淵は、洗練されたSFホラー的演出を超えて、人間の矮小さを突きつける。無数の星々やブラックホールの巨大さに直面した際、観客が覚える言いようのない不安こそ、まさに脳が発する警告信号にほかならない。